「任意整理」に関するお役立ち情報
年金受給中でも任意整理は可能か
1 年金を受給していても条件を満たせば任意整理は可能
年金を受給している方であっても、任意整理の手続きを行うことは可能です。
法律上、年金を受給している場合には任意整理ができないという決まりはありませんし、任意整理をすると年金給付が停止されるということもありません。
任意整理ができるか否かは、あくまでも任意整理後の返済条件で返済を続けることができるか否かによって判断されます。
そのため、年金受給者の方の場合、返済に充てられる金銭(返済原資)を現実的に確保できるかが問題となります。
以下、返済原資と任意整理の可否、および任意整理では解決できない場合の対処方法について説明します。
2 返済原資と任意整理の可否
任意整理において最も重要な要素のひとつとして、返済原資が挙げられます。
返済原資とは、月々の手取り収入から生活費等の支出を控除した残額であり、返済に充てることができる金銭です。
任意整理をすると、残債務の元金と経過利息、遅延損害金の合計額を36~60か月程度で分割して返済することになります。
年金は公的な安定収入であるという点では、任意整理をするうえで有利です。
もっとも、一般的に年金は高額ではないため、生活費等を差し引いた残額が任意整理後の想定返済額を下回る場合、任意整理は困難であるといわざるを得ません。
場合によっては、親族等からの援助を受けることや、就業してある程度収入を得ることも検討する必要があります。
3 任意整理では解決できない場合の対処方法
任意整理後の返済が現実的に困難であると考えられる場合、他の債務整理の手段を検討することになります。
具体的には、個人再生か自己破産を検討します。
個人再生は裁判所を通じた債務整理の方法であり、債務総額を大幅に減らすことができる可能性のある手続きです。
ただし、減額後の債務を原則として3年間(特別な事情がある場合は5年間)で分割返済する必要はありますので、その返済原資が確保できない場合には、個人再生も困難です。
自己破産も裁判所を通じた債務整理の方法であり、免責が許可されることで、一部の例外を除く債務の返済義務を免れることができます。
破産手続きにおいては、原則として債務者の方の財産が換価されますが、年金の受給権は対象外とされています。